幽霊の存在は非科学的で、科学技術が発展した現代では、否定的な見解が多いように思います。
しかし、生と死の現場である、病院の中においては、幽霊の存在を思わせる実に不思議なことが行っています。
それを科学で証明することは難しいと思いますが、確かに、その現象は存在すると私は思います。
また、現に霊感がまったくない私でも、いくつかの不思議体験をしています。 今回は私のナース人生で経験した、不思議体験をいくつか紹介します。
逝去した患者さんの身体を整えている時に・・・
これは私が病院に入職して3年目頃の話です。
その日は2交代の夜勤でした。私の受け持ち患者さんのAさんは、70歳代の男性で、肝臓癌のターミナルでした。日勤の担当看護師さんからAさんの申し送りをもらった時点で、すでに、意識はなく、死期が近い状態でした。
奥さんと娘さん、息子さんも付き添いをしていて、患者さん、ご家族ともに、延命治療は望まれず、苦痛がないように看取りの援助を行っていました。
深夜の2時頃、Aさんの呼吸も脈拍も止まり、家族に見守られ、死亡確認になりました。
その後、自宅に帰るための死後処置を、受け持ち看護師の私と一緒に夜勤をしていた先輩看護師の二人で行いました。
Aさんは個室に入っていたため、深夜でも部屋の電気をつけた状態で、点滴を外し、体を拭いたり、浴衣に着替えるなどの処置を行っていました。
すると、部屋の電気が一瞬ついたり消えたりを繰り返しました。最初は、私か先輩が電気のスイッチにぶつかってしまったんだろうな、と軽く考えていました。
しかし、数分後、約1分程度の時間、また電気が消えたり、付いたりして、さすがに私も先輩もおかしいと思い、お互いに目を合わせ、電気のスイッチに触れていないことを確認すると、急に怖くなりました。
処置の間、計3回くらいは、その現象が起きたような気がします。
蛍光灯の劣化?とも考えられますが、亡くなったAさんが何かを訴えかけようとしていたのでしょうか? ちなみに、一緒に処置をしていた先輩看護師さんも霊感はないと話していました。本当に、あの現象はなんだったのか、その日の夜勤が終わり、日勤の担当看護師さんに、そのことを話しても、信じてくれませんでした。
誰もいない部屋からナースコール
これは、私が施設に転職して1年目で、最初の夜勤の日でした。
テレビや雑誌の看護師あるあるの記事でも、時々、書かれていることですが、本当にそんなことが起こるんだ、と思ったことを記憶しています。
このころは、私も看護師経験をかなり積んでいたので、怖いという感覚はあまりありませんでした。
何かが起こるのは、やっぱり夜なんですね。
明け方4時くらいの出来事です。
突然、誰もいない部屋からナースコールがなりました。
「誰かがいたずらして押したんじゃない?」と思い、その部屋を見に行きましたが、誰もいませんでした。
そして、数分後、また同じ部屋からナースコールがなり、見に行きましたが、やっぱり誰もいません。
その部屋はナースステーションからそれほど遠い部屋ではありませんでしたので、ピンポンダッシュのように、ナースコールを押して、すぐに誰かが出てきたら、すぐに分かるところです。でも、誰も出てきた様子はありませんでした。
その日の夜勤は、私のほかに定年間近の年配看護師さんが2人いました。
誰もいない部屋からのナースコールがあった話をその年配看護師さんに話して、なんとも意外な答えが返ってきました。
「そんなのいつものことよ。」と、2人で口を揃えて言いました。
私は「え~。」と反応すると、続けて。
「その部屋に、以前、ずーとナースコールを押すおじいちゃんが入院してて、半年前にそのおじいちゃん、亡くなったんだけど、亡くなった後も、ときどき、ナースコールがなるのよね。アハハ!」って軽い口調で、そう話しました。
この人たち、すげ~と思いました。また、それと同時に、そのおじいちゃん、半年くらい成仏できずに、ここにいるのだろうか、と思いました。
施設内の異動で、私はすぐに別の施設に移ることになり、その病棟での夜勤はその時だけでしたので、その後も、ナースコールが続いていたのかは知りません。
誰もいない部屋からのナースコールにも、もちろん驚きましたが、それよりも、そこの年配看護師さんたちの肝のすわりようにもっとびっくりしました。
患者さんからの病室変更の要望。その真の理由は・・・
最後は、わりと最近の話です。
病棟師長をしていた時の話です。
ある患者さんから呼ばれて、「師長さん、この部屋、ちょっと無理だわ。どこでもいいから部屋を代えてほしいの」と50代の女性患者さんが私に訴えました。
その患者さんは、裕福な方で、入院するときは必ず、お金のかかる個室を希望していました。
その時も、個室の希望があったので、景色のいい部屋を準備して、患者さんを受け入れました。
しかし、その部屋は前日、交通事故により重体の状態で運ばれた20代の男性患者が、治療困難で看取り目的に救急室から病棟にあがって、まもなく死亡した部屋でした。
もちろん、そのことは、50代の女性患者さんは全く知りません。
部屋もすべて清掃された状態でしたので、前にどんな患者さんが使用していたか、なんてことは絶対にわからないはずです。
、、、にも関わらず、その女性患者さんは、こう言いました。
「この部屋に、ずーっと若い男性がいて、ずっと私のことを見てるの。なんだか、気持ちが悪いから、お部屋を代えてほしい。」と
切実に訴えかけるその女性患者さんの表情は真剣でした。
私は、すぐに別の個室を用意して、その女性患者さんを別の病室に案内しました。
そこで、女性患者さんが話したことは、
「わたし、小さいことから、(幽霊が)見えるのよ。信じられないかもしれないけど。」「病院の中って、意外といるのよ、幽霊。」「やっぱり、死んでも死にきれない人っているのよね。」
あなたはどう思いますか?
私には霊感がまったくありませんので、幽霊を見たことはありません。
しかし、その存在を思わせる体験はいくつもしてきました。
電気がついたり消えたりすることやナースコールの異常は電気系統の故障という人もいるかもしれません。また、幽霊が見える現象はその人の思い込みによる虚像と、流されてしまうかもしれません。
それでも、尚、そこには何かが存在する、と私は思います。