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退職を考えている看護師さんは辞める『時期』が重要です

看護師という職業は、本当に大変なお仕事です。看護師という仕事に夢を抱いて、就職してみたものの、実際に働いてみると、理想と現実のギャップについていけず、辞めていく看護師さんを何人もみてきました。

人によっては、うつ病や適応障害などの精神的な病を発症し、辞めざるを得ないケースもありました。それだけ、身体的にも、精神的にも、大変な仕事だということが言えます。

様々な理由で退職を考えている人は、辛い気分からすぐにでも開放されたい、いますぐ辞めたいと思う気持ちはわかります。しかし、辞めたその先(未来)のことを思うと、辞める時期(タイミング)を考えることは非常に重要です。

結果を先に言います。辞める時期は絶対に「年度末(3月末)」にするべきです。

もしも、これを読んでいるあなたが、重度の病気を患って、就業を続けることが物理的に難しい場合や、今後、看護の職には絶対に就かないという場合は別ですが、それ以外の理由で、いつ辞めるか、悩んでいる場合は、職場に辞めると宣言し、年度末にスマートに退職しましょう。

私はこれを、「スマート退職」と呼んでいます。

スマート退職の定義

★退職する3か月前までに、退職を宣言する。(3か月前であれば、いつでも良いです。例え、半年前、10か月前、1年前でもよいです。)

★年度末(3月末)に退職する

もしも、あなたが、いまの職場を辞めたあとも、看護の仕事に就く予定があれば、「スマート退職」が絶対おススメです。

では、「スマート退職」でないケースを見ながら、その理由をお伝えしたいと思います。

私が病棟ナースだった頃に経験した、スマートではない、退職ケースをいくつか紹介し、どうして、スマート退職がよいのかをお伝えしようと思います。

看護師5年目を迎える1か月前(2月末)に退職したケース

看護大学を卒業後、新採用で病院に入職し、4年目。年度末を迎えると5年目になる女性看護師。

2年目、3年目の時にも、何度か、辞めたいと思うことがあり、看護師長にもたびたび相談していましたが、その度に説得され、4年間、看護師を続けていました。

彼女が退職したいと思う理由は、「自分に自信が持てない」「責任あるリーダーの仕事をなるべくしたくない」というものでした。

4年目、5年目看護師には、あるあるの悩みです。

彼女の仕事を外から見ていると、そんなことを思っているとは思わせない仕事ぶりで、任された仕事はきっちりこなし、立派にリーダー業務も行っていました。

しかし、一旦仕事から離れてしまうと、マイナス思考になってしまい、「自分には看護師は向いていない」と思ってしまうようでした。

4年目の冬、年が明けて、次年度の役割などを検討するなかで、その彼女も5年目を迎えるため、係のリーダーをお願いしようと思っていました。

看護師長だけではなく、他のスタッフからの信頼もあり、係のリーダーとしての素質は十分と判断して、本人に伝えましたが「私は絶対に係のリーダーはしたくありません。」「係のリーダーをするくらいなら、辞めます」と言って、結果的に、その年の2月に退職してしまいました。

あと1か月、頑張って働けば、看護師経験5年というキャリアが付くことを、何度も説明しましたが、彼女にとっては係のリーダー業務への拒否感から、勢いで辞めてしまった印象でした。

看護師経験5年というのは、皆さんが思っている以上に、価値のあるものです。

認定看護師をはじめ、専門性の高い上位資格の取得要件にもなっていますし、ちょっと難しいかもしれませんが、病院が国からお金をもらうための加算要件に必要な人材も多くは経験5年というのが関係します。

そのため、給与等の採用条件を有利にするために、5年経験というのは、本当に価値のあるものなのです。

そのことを何度も彼女には説明をしましたが、ほんの一瞬の感情で、苦労して積みかねてきた4年11か月という時間を捨ててしまったのです。

そして、この話にはその先があって、その彼女は、退職した2か月後くらいに、再就職を考え、近隣の病院の採用面接に行ったそうです。

いまやどの病院も人員不足で、彼女もすぐに希望すれば就職できるものと思い、面接試験を受けたのですが、結果はまさかの「不採用」でした。

「不採用」の本当の理由はわかりませんが、面接で「どうして2月に辞めたのか?」という質問を何度もされたそうです。

彼女の性格や看護への姿勢が原因で、面接試験を落とすことは考えにくので、おそらく、採用する側としては、年度途中で辞めてしまう人は、自分の病院に就職してからも、そのような状況になる可能性があることを危惧したのかもしれません。

日本において、多くの組織の事業計画は年度代わりです。人員確保等の調整も、多くは年度代わりで行われますので、年度途中で人員に変更が生じることは、なるべく避けたいと思うのは当然のことです。

一般スタッフは、意外にそのことを理解していません。

結局、彼女は現在、病院ではなく、介護施設で勤務しています。

彼女にとって、2月に辞めてしまったことが、良かったのか、悪かったの、それは本人にしかわかりませんが、皆さんはどう思うでしょうか。

職場に言わずに勝手に次の勤務先を決めて、12月に退職していったケース

看護学校卒、新採用で病院に入職し、7年目の12月に退職した女性看護師。

明るくみんなを引っ張ってくれる性格で、後輩看護師からも信頼が厚い看護師。

上司との面談や、意向調査にも退職については、一切、言及していなかったが、11月の下旬

に「次の職場が決まったので、来月、辞めます」と突然の宣言。

どうして、そんなに急な退職なのか、理由を聞くと、「先方の施設から、一日も早く来てほしいと言われました」と。。。

もちろん、どの組織も看護師不足ですので、一日も早く、人員を補充したいと思う気持ちはわかりますが、見方を変えれば、途中で人員がいなくなる部署のこと考えずに、自分の組織のことだけを考える組織は、良い組織とは言えません。

彼女が、就職しようとしていた施設も、実は、巷ではあまり評判が良くないところで、何度も職員が入れ替わっていて、ブラック企業の典型でした。

そういう施設は、迎い入れるときは、ものすごくいい顔をして、勧誘しますが、いざ、入職したあとのフォローは、まったくない、というケースが多いように思います。

看護師という職業は、一度、病院に就職すると、その中のことしかわからなくなるため、他の職種に比べ、社会性は非常に脆弱な職業ということも言えます。

そんな、無防備な状態で、外に出て、いろんなところから勧誘されると、自分という存在を勘違いしてしまうことが多々あります。

この彼女のケースもそうでした。

後から聞いた話では、彼女の知り合いの知り合いがその施設の事務員で、ちょっと、見学だけでも来てみないかと言われ、施設見学に行ったところ、もてはやされて、その気になって、就職を決めてしまったようです。

結局、彼女もその施設で働いて、5か月後にそこを退職し、現在はパート職員として、検診センターで働いています。

しっかりとした組織であれば、年度代わりの人事交代を重視しますので、年度途中に「いまの職場をすぐにやめて、うちに来なさい」とは言いません。

地方であればあるほど、スマート退職は重要

看護の業界は、皆さんが思っているよりも狭い世界です。

地方の近隣病院の情報は、ほとんど共有され、筒抜けです。それだけ、看護の団体の団結力は強い、ということも言えます。

そのため、一度、その人の悪い噂が立つと、その情報は一瞬で広がります。

個人情報の保護に関する微妙な問題もはらんでいますので、再就職採用試験の際に、前の職場の情報を得ることは、もしかすると、法律に抵触することなのかもしれませんが、情報共有があることは事実です。

ですから、皆さんの将来を考えると、『辞め方』は非常に大事なのです。

まとめ

『スマート退職』の大切さ、わかっていただけましたでしょうか。

退職に際しては、社会人であれば年度末退職が理想です。

皆さんの将来を台無しにしないためにも、退職の時期(タイミング)を見極めて、辞めたいときは、『スマート退職』を実行しましょう。