国立大学病院は、全国に42大学44病院あります。
国立大学は我が国の教育の最高機関です。その大学の附属病院で働くとは、どういう意味を持つのか、考えてみましょう。
国立大学病院の看護師の身分とは
以前は、国家公務員でしたが、現在は独立行政法人の団体職員としての身分です。
しかし、国立大学を管轄しているのは文部科学省ですので、就業規則が国家公務員に準じる規定であったり、保険証の保険者が文部科学省など、いわゆる準公務員としての身分です。
また、給与体系は人事院の給与規定に従って決められていますので、公務員と同水準とも言えますが、完全な公務員ではありませんので、国家公務員に比べれば給与額は劣ります。 しかし、決して低い水準ではありません。
国立大学附属病院で働くメリット
身分の上のメリット
就業規則、給与体系が国の基準に遵守しているため、身分は保証されています。
社会的な信用は非常に厚いです。
例えば、金融機関からの信用も厚く、住宅ローンや自動車ローンなどが組みやすいです。
住宅購入や車購入に際して、銀行からの融資を検討したことがある方は、すごく実感できることだと思います。
新卒採用の看護師さんや若手の看護師さんはあまり実感がないかもしれませんが、将来的には、これはものすごいメリットです。
次に、福利厚生が充実している。 国家公務員共済に加入することで、優良な医療保険に加入できたり、金利の高い積立が出来たりと、様々な福利厚生のメリットがあります。
教育上のメリット
大学という教育機関の附属施設であるため、どの病院も新人教育、現任教育はしっかりしています。
看護の基礎を学ぶ場所としては、これ以上ないところです。
大学によっては、看護学科の講義の聴講も許可されているところもありますので、興味を持っていろんなことを学びたいという方には最適な環境と言えるでしょう。
国立大学附属病院で働くデメリット
時間的なデメリット
国立大学の附属病院は、教育機関としての役割も持っていますので、学習会や研修会など、時間外でも出席が必須のものがあります。
昔ほど、拘束性はなくなりましたが、重要な研修会などには、休みの日や夜勤明けの日でも出席しなければならないものもあります。
また、国立大学の附属病院は特定機能病院や第3次救急など、いわゆる、地域の高度医療を担っているため、重症患者の入院が多く、配属された部署にもよりますが、一般病棟では定時で仕事が終わることはほとんどなく、全般的に忙しい勤務であることは覚悟したほうがよいと思います。
人的デメリット
多くのスタッフを抱える病院は、スタッフの出入りも激しく、病院によっては年間で100名を超える人の異動があります。
その分、人のつながりも希薄になりがちで、ドライな人間関係を好む人には良いかもしれませんが、そうではない人にとっては少し辛いかもしれませんね。
もちろん、これは一般論ですので、そうではなく、アットホームな病院や部署もあるかもしれません。
しかし、往々にして急性期病院というものは、そうある傾向があります。
国立大学附属病院一覧
北海道地区
・北海道大学病院
・旭川医科大学病院
東北地区
・弘前大学医学部附属病院
・東北大学病院
・秋田大学医学部附属病院
・山形大学医学部附属病院
関東・甲信越地区
・筑波大学附属病院
・群馬大学医学部附属病院
・千葉大学医学部附属病院
・東京大学医学部附属病院
・東京大学医科学研究所附属病院
・東京医科歯科大学病院
・新潟大学医歯学総合病院
・信州大学医学部附属病院
・山梨大学医学部附属病院
近畿・中部地区
・富山大学附属病院
・金沢大学附属病院
・福井大学医学部附属病院
・岐阜大学医学部附属病院
・浜松医科大学医学部附属病院
・名古屋大学医学部附属病院
・三重大学医学部附属病院
・滋賀医科大学医学部附属病院
・京都大学医学部附属病院
・大阪大学医学部附属病院
・大阪大学歯学部附属病院
・神戸大学医学部附属病院
四国・中国地区
・鳥取大学医学部附属病院
・島根大学医学部附属病院
・岡山大学病院
・広島大学病院
・山口大学医学部附属病院
・徳島大学病院
・香川大学医学部附属病院
・愛媛大学医学部附属病院
・高知大学医学部附属病院
九州・沖縄地区
・九州大学病院
・佐賀大学医学部附属病院
・長崎大学病院
・熊本大学病院
・大分大学医学部附属病院
・宮崎大学医学部附属病院
・鹿児島大学病院
・琉球大学病院
国立大学附属病院の看護師に向いている人
・看護の基礎知識・技術をしっかり身に付けたい人
・高度医療の知識や技術に興味がある人、またそれを学びたいと思う人
・自分の成長のために時間を使う事を惜しまない人
・社会的地位への欲求が高い人
・国家公務員と同レベルの身分で仕事がしたい人
・専門看護師、認定看護師、NP(ナースプラクティショナー)など、上位資格の取得を目指したい人。
国立大学附属病院の看護師に向いていない人
・自分の時間を最優先に考えたい人
・時間外勤務は絶対にしたくないと考えている人
・ゆったりと仕事をしたいと思っている人
・多職種との関わりを好まない人
・自己研鑽への意識が低い人
これから国立大学附属病院の看護師に求められるスキル
英語力
これからの未来は国際化していくことが必至です。
世界の共通言語は、やっぱり英語です。
大学病院の職員として、最低限の英会話レベルは保持したいものです。
ITリテラシー
今後、必ず起こる人口減少によるマンパワー不足。それを補うものは、IT技術です。
最先端の病院で働く人にとって、やはりITの知識は必要不可欠です。
次世代の新しい看護を創造するためには、プログラミングのスキルも必要になるかもしれません。
ITリテラシーが高く、少しでも興味がある人は、いまからプログラミングを習得しておくのも、将来のために役立つかもしれません。
まとめ
自己研鑽に時間を惜しまず、しっかりとした医療・看護の知識と技術を身に付けたいと思っている方は、絶対に国立大学の附属病院で働くことをおススメします。
決して楽な仕事ではありませんが、国立大学の附属病院で少なくとも5年間働いた実践があれば、その先の看護師としてのキャリアは無限大に広がります。
一方で、ただなんとなく、生活の安定のために看護師の仕事を続けていきたいと思っている方は、国立大学の附属病院への就職はおススメしません。
自分にあった職場を探す、一つの材料として、この記事が役に立てば幸いです。