希望した仕事についたのに「なんか違う…」と感じたり、近年の情勢から「医療にたずさわりたい」と思う方がいるかもしれません。
また、経済的な事情で「看護師なら生きていけるかもしれない」という状況の方もいるでしょう。
看護師を目指すきっかけは人それぞれです。
厚生労働省では2015年に「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」を作成し、社会人経験者の看護師への育成に力を入れています。
この記事では社会人や主婦の方々が看護師になるまでの道のりを解説します。
看護師になるには
看護師には正看護師と准看護師の2種類があります。
それぞれの定義と違いなどを解説します。
正看護師とは
正看護師とは「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話や診療の補助をおこなう者」とされ、文部科学大臣が指定する学校を卒業し、看護師国家試験に合格する必要があります。
准看護師とは
准看護師とは「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話や診療の補助をおこなう者」とされ、都道府県知事が指定する看護師養成所を卒業し、准看護師試験に合格する必要があります。
何が違うの?
大きな違いは、仕事内容と給与です。
病院や施設の規模によっても異なりますが、准看護師は病棟のリーダーのような管理する業務や新人教育などにはつけません。
専門性の高い「認定看護師」「専門看護師」へのキャリアアップも准看護師からはできません。給与は4〜5万円の差があると言われています。
大規模な病院などでは准看護師を採用していないこともあります。
しかし、クリニックや施設など准看護師の活躍の場はまだまだあります。
高齢化がすすむ現在、高齢者向けの施設などでは多くの准看護師が活躍しています。
どっちがいい?
学校に通う期間の生活費や学費など経済的な環境が整っているのなら、正看護師の免許取得をおすすめします。
正看護師の免許取得には3〜4年間の全日制の学校へ通う必要があります。
週末のアルバイトなら可能かもしれませんが、実習が始まる頃にはレポートの提出などに追われる日が増えてくるので体力的にも難しいかもしれません。
学費をあまりかけることが出来ず、働きながら免許取得を目指したいなら准看護師の免許取得をおすすめします。
准看護師養成所は週3日の通学や週5日の半日の通学など、働く時間を持つことができます。
働きながらといっても働く時間は減りますので、収入は少なくなります。やはり環境を整えておくことは必要です。
「すぐ看護師になりたいけどお金ない…」「お金がない私は看護師になれないの?」
そんなことはありません。
奨学金制度がありますのでご紹介します。
奨学金制度
①病院での奨学金制度
病院に勤めながら貸与を受け、卒業後には貸与を受けた病院で勤務し続けることで返済を免除されます。病院によって条件は異なりますし、全ての病院にその制度があるわけではありません。
②都道府県、市町村での奨学金制度
学生の期間は一定額の貸与を受け、卒業後は指定の機関で勤務したり、低金利や無利息で返済をするなどの奨学金もあります。
お住まいの地域での制度を確認してみてくださいね。
③日本学生支援機構の奨学金制度
看護学生に限らず、経済的な理由で進学が困難な学生に対し貸与をおこなう制度です。
学力や家計の基準などさまざまな条件がありますので日本学生支援機構のホームページを確認してみましょう。
学校の種類
正看護師と准看護師では学校が違います。
正看護師になるための学校
①看護系大学(4年課程)
②短期大学(3年課程)
③専門学校(3年課程)
上記の学校を卒業し看護師国家試験を受験します。
看護系大学の場合、大学を卒業している方は編入制度を利用して最短で2年で卒業することができます。
入学試験の難易度は高い方から国公立看護大学、私立看護大学、専門学校の順になります。看護医療系に特化した予備校などもありますので「絶対に国立大学に入りたい!」という方は予備校を利用するのも良いですね。
准看護師になるための学校
①准看護師養成所(2年課程)
②高等衛生看護科(3年課程)
上記の学校を卒業し、准看護師試験を受験します。
准看護師免許を取得してから正看護師になることもできます。准看護師の学校を卒業し免許取得後に進学することもできますし、臨床経験7年で通信制の学校に進学することもできます。
少し遠回りにはなってしまいますが、無理をせず自分の環境に合わせて選択しましょう。
新卒者と同じ学校だなんて大丈夫?
社会を経験した人であっても学校自体は新卒者と変わりません。
最初に述べたように、厚生労働省は社会人経験者の看護師育成に力を入れています。
不安はあると思いますが、各学校で社会人へ向けての取り組みがおこなわれています。
学校を選ぶ際に、その学校に何人くらいの社会人経験者がいるのか確認してみましょう。
学校によっては受験科目が少ない「社会人枠」もありますので、学力に自信のない方は社会人枠を狙って受験するのも良いですね。
入学後は新卒者でも社会人であっても同じスタートラインに立ちます。初めて触れる看護学に素直な気持ちで取り組みましょう。
具体的に考えてみましょう
不安や心配はあると思いますが、自分の環境と照らし合わせて具体的に考えることをおすすめします。
・学費や生活費をまかなえる資金はありますか?
・奨学金を借りますか?
・どんな種類の奨学金がいいですか?
・返済の計画は立てられますか?
・学校はどこにしますか?
・仕事はどうしますか?
・家族がいる方であれば協力体制はいかがですか?
など、具体的に考えることで不安を一つ一つ解消していきましょう。
看護学校は学ぶことがとても多く、体力的にも精神的にも厳しい時期もあります。
経済面、生活面もギリギリの計画だと途中でバテてしまいますので、無理のない計画を立て学生生活を乗り切りましょう。
まとめ
看護師免許を取得することで経済的な安定が得られ、仕事の選択肢も広がります。
「今からでは遅いかな…」という心配がある方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
超高齢化社会、医療の進歩により看護師の活躍の場は増えています。
年代や体力、希望の働き方に合わせた選択をして末長く看護師として働いていきましょう。
本記事のライター:田中はる.
結婚・離婚を経験後、看護師免許を取得。
子育てをしながら総合病院で12年、有料老人ホームで5年勤務しました。
現在はフリーランスで看護学校講師やライターをしています。